薄明の月


青い、青い草はらの上には、後にも先にも二人だけ。
 地を這う蟻の足音が聞こえる昼下がりは、何をするにも遅すぎて。けれど諦めるには早すぎて。そうして今日を推敲しながら空を見上げると、寝起きの月がまだ眠そうに目を開けていた。

 時折前髪を揺らす風は、若い陽だまりの匂いを含んでいるというのに。まだ目的地へ半歩も届いていないというのに。気の早い薄明の彼と目が合ってしまったなら、あとはもう観念するしかないじゃない。

 だから彼女とあなたは飾らないからだを伸ばして、そっと寝転んだ。