what

『黒ヤギさんてば白ヤギ喰った』

手紙に馳せる想いは様々。喜びも悲しみも酸いも甘いもなんだって、言の葉を結んで開いて手を打ったら封をして。
そうして認めた気持ちの形をあなたへ向けて、送りました。けれどあなたが私の気持ちを知ることは生涯ないのでしょう。だってあなた。手紙
読まずに食べたじゃない。

『さっきのお手紙ご用事なあに?』

けれどきっときっと、このままでいてね。永遠に私の気持ちを探していてね。
これは、甚だしい思い込みに食べられた白ヤギのきもち。手紙の中、最初から空っぽだったの。

彼女は気ままな性格。思いついたように飛び起きては飽きて寝転ぶことが日常。自己中心ともいえる。
好物は肉と酒、それから注目。寂しがり屋でもある彼女は誰かの意の中に自分があるのが嬉しかった。
このあまりにも壮大すぎる世界の中では我々はあまりにも小さすぎる。それを知っていて、あなたが共感する生き物であるのなら、彼女のその気持ちに頷けるものがあるのではないだろうか。

ところで彼女は、他人と自分の境界線が曖昧である。自意識過剰、ナルシスト、そんなもんじゃない。何もかもの目が自分に向いていると確信していて、宛先は全て『what』。
かといって他人にそれほど興味のない性分でもあって、手紙の封は開けることは滅多にない。

上部だけの気持ち。所詮その程度で満足できる腹を持っていて、今日も彼女は誰かを食い尽くしている。

synopsis

一頭の黒ヤギ。何にでも首を突っ込む様からwhatとあだ名を付けられるが、そのうち名前になってしまった。
郵便屋として各地にポストを設置しているが、全部自分宛と思い込んで毎日大喜びしている。救難信号も食べてしまうためいつまで経っても救助が来ない時はきっと彼女に食い尽くされている。
しかし一見他人の手紙や気持ちや信号を横取りしているように見えるが決して悪意があるわけではなく、自他の境界線が無いために本気で全部自分に向けられたものと思っている。そのため良い感情だけでなく怒りや嫉妬といった負の感情にも敏感で、一人でめそめそしていることも。

吸血鬼では無いためブラッドコードは無い。というかそもそも本当にヤギなのかも怪しいが、自分でもヤギを自称しているためヤギである。
飽き性であるため拠点を点々としている。片付けは全くといっていいほどできないため、彼女がいた場所はとてもじゃないが住めたものではない。この世界において上記の所業をしておきながら足跡を消すことが下手くそなため、好かれるよりは嫌われることの方が多い。が、繰り返しになるが彼女に悪意は全く無いため、その理由については全く理解できていない。