‪YuP!ToЯi‬

『これもまた一つ、陳腐な物語ではあるけれど。』

太陽の子、星の鳥と呼ばれる彼女にとって重要なのは今であって、過去では無い。
強いてユピトリに至る前について語るならば、彼女は愛らしい人の子に恋をした一羽の夜鷹であったということだろう。
「お前の名は」という問いに、全ての記憶と身体を失った彼女が答えた名前はこうだった。
『ユピトリ。』
その記憶を事細かく見たいのであれば、彼女の血英に触れるがいい。所詮小さな思慕の話であるが。

彼女は人を疑うという事を知らず、思ってもいないような事は口にする事ができない性質を持つ。
端的にいうならば素直や単純、それか愚か。その純粋さは讃えられるべきものであるが、行きすぎたそれに自身を危機に晒す事もある事を忘れてはならない。

また、人と鳥の二つを取り持った己の特異な存在については少なからず自覚している。その在り方を定めるのは自分自身である事にも気づいており、それ故自我は確立している。
鳥らしく虫や小獣を狩っては喰らう事もしばしばあるが、しばらくの間喰っていた堕鬼については何か気づいたらしく、今後喰わない事を決めている。


『アンシャンテ。私、ユピトリ。』

それははじめましての言葉。よくある挨拶の一つかもしれないが、2度の別れを経たユピトリにとって出会いを意味するこの言葉は、例えばおまじないのようなもの。別れが怖い彼女にとって一つの救済のようなものだった。
今やおきまりの挨拶になってしまったが、ちいさな小鳥の嬉しい気持ち。ちょっとずるい“先生”を慕うには十分な理由で、人が好きな彼女は大層気に入ったようで真似てはあちこちにばら撒いている。
そうして彼女は出会いや新しいものを求めて空を飛ぶ。救難信号を受け取っては赴いて、新たな出会いを繰り返す。おおよそユピトリになる前の性質も影響しているのであろう、彼女になる前の彼は人の元で育ち、人によって愛されていた。
新たな人と出会っては、たくさんを見てたくさんを好きになる。
太陽の子と呼ばれる所以がこれである。ユピトリは、たくさんのことが大好き。

そんなユピトリの大嫌いなものは、『さよなら』。
死んだ彼女と夜鷹の話、それは忘れ去ってしまった過去であっても、魂が覚えているものである。
また、次に目を覚ました時に出会ったイオとの旅路の果て。大衆のために大樹となったイオに、ユピトリは二度目の永訣を見る。
それからというものの、別れが恐ろしく怖い。たとえ鳥としての自然的な本能が生と死を理解していても、「さよなら」によって一人ぼっちになる心にひどい悲しみを覚えてしまうのだった。

『私、もう、さよならを聞きたくない。言いたくない。見たくない。』
『それは、私の、嫌いな言葉。嫌いな言葉。』
『ねぇ、やめて。やめてよ。やめて。』

…時に太陽は陰り、月の支配する夜にすっかり沈んでしまう事もあるけれど。しかし彼女が鳥の星と呼ばれる所以である、全てを糧にして彼女は力一杯羽ばたくのである。
果たして現状を打開できると断言できないが、それでも羽ばたく彼女は、己が身を焦がさねば照らせぬ夜空にて光を放つ。安易に宵闇に飲まれない彼女の言い知れぬ強さが、そこにある。生きたいと思うことに、潰えたくないと思う事に、理由が必要であろうか。生や希望に固執するのはやはり、彼女が今を生きているからであろう。

synopsis

元は1羽のヨタカ。
女王討伐の時代、巣から落ちたところをユピに拾われ、以来相棒として彼女の側にいた。世代は第二世代。
トリの人生のほとんどはユピであり、そのためユピに思慕のような情を抱いていた。

最後はクイーンを討ち、その血を継承したユピの血を浴びて堕ちかける。ユピはその後ジャックにより介錯、灰化。トリも介錯されるが、崖下に落ちてしまう。散りゆく最中でクイーン、ユピ、記憶、自分が混ざり合い、目が覚めると今の姿になっていた。

クイーンの血を継承したユピの血を継承したため、実質的にトリが継承者。伴侶としていたイオを、目が覚めてから初めて目にしたせいもあり番と思い込み、以来恋慕うようになる。

本編はほぼシナリオ通り。何もわからないため、ルイやヤクモに言われるまま血涙の泉や継承者を探していくことに。その途中で青空の存在を知り、いつかイオと共に霧のない青空を見に行きたいと夢見るように。(あおいそら)

自分の血英、記憶は拾っている。人か鳥か中途半端な「ユピトリ」としてそれらを受け入れている。

blood cord

サテライト−satellite−

トリの純粋な意思を受け継いだユピトリのブラッドコード。白い血の聖堂で自身の記憶と共に取り戻した。

牙装

サンダーバード
[とある民族が畏れた、雷の精霊を模した牙装。荒々しい雷の声は生命に溢れ、通り道には恵の雨が降り落ちる。
大きなリボンをたなびかせて、今日もどこかへ。誰かの元へ。小さな出会いをプレゼント。]

リンがユピトリに合わせてあしらった牙装。
ユピトリの羽が装飾に使われている他、ユピトリがあちこちで集めたガラクタおよび宝物を使っている。べっこう飴のようなボタンがお気に入り。
青いリボンは最後にイオからプレゼントされたもの。それまで大切にしていた青いマフラーの代わりに付けている。マフラーはユピトリの宝箱に仕舞われている。

ユピトリの素材を使っているため相性も着心地も非常によく、気に入って着ている。